日本における政府オープンデータ利活用推進について

昨日、国際大学オープンデータ・トークシリーズ(2)「オープンデータをめぐる最新動向の共有、意見交換」 | Peatixに参加しました。オープンデータについて多くの方と意見交換が出来ました。そこで僕も『世界最先端IT国家創造』宣言(案)に関するパブリックコメントの募集についてパブコメを書きました。でも書いているうちにだんだんと「日本政府が自らの強い意思とリーダーシップを持って推進する「オープンデータ」でなければ成功しない。外資企業の餌場になる。」という危機感をおぼえました。「オープンデータ」利活用を日本の将来に役立てるには、日本政府と日本国民が一緒になって推進しないといけないと考えています。

思いのままに書きました。


「『世界最先端IT国家創造』宣言(案)に関する意見」
内閣官房IT担当室 御中

意見は主に
目指すべき社会・姿を実現するための取組み
のうち
「オープンデータ」「ビッグデータ」「番号制度」に関するものとなります。

意見)
「オープンデータ」「ビッグデータ」「番号制度」の3テーマはトータルで目標設定・ロードマップ作りを行うべき。

「オープンデータ」「ビッグデータ」「番号制度」の推進自体は各テーマごとの推進で構いません。しかし各々のテーマを関連付け、その主目的・相乗的波及効果を考え、3テーマ合わせて、どんな形で、データを利活用した「豊かな社会づくり」「イノベーション産業育成」「国民ひとりひとりの幸せ」につなげたいのかを視野に入れた目標設定・ロードマップ作りを行うべきだと考えます。
なぜなら、この3つのテーマは共通して、「日本は、世の中に流れる膨大な情報・データを、いかに有効に、豊かな社会づくりや、産業育成、日本国民ひとりひとりの幸せに活用するのか?」という課題を内包しているからです。
ですので、
膨大な情報・データを
どうすれば社会が受け入れるか?活かせるか?
どうすれば産業(企業・個人事業)が受け入れるか?活かせるか?
どうすれば日本国民ひとりひとりが受け入れるか?活かせるか?
をまず考えます。
次に
「オープンデータ」「ビッグデータ」「番号制度」を
どういう順番で導入すればうまく浸透するか?
どういう訴求をすればみんなに判りやすいか?
どうすれば利活用が促進されるか?
を相関的に考えながら3テーマの推進を図ります。
効果的シナリオに沿って3テーマを推進出来れば、行政関係者・企業人・個人事業者・国民ひとりひとりが、自分の身近なこととして「オープンデータ」「ビッグデータ」「番号制度」を受け止めることが出来ます。その結果3テーマの利活用推進がスムーズに行えます。

利活用推進する順序)
1.「オープンデータ」
2.「ビッグデータ
2.「番号制度」

(「番号制度」は具体的実施スケジュールが既にあります。ですので並行的に「ビッグデータ」利活用を本格推進するのが得策と考えます。)

推進順序の理由など)
1.「オープンデータ」
まず最初に「オープンデータ」の普及利用促進が出来なければ「パーソナルデータ」を多く含む民間「ビッグデータ」活用はないでしょう。なぜなら「オープンデータ」は規制問題のハードルが最も低く、政府がやる気になればすぐできるからです。オープンナリッジ・ファウンデーション・ジャパン等の会合にも参加しておりますので著作権・その他法的問題があるのは存じております。しかし、所詮、政府が保管している国民に権利があるデータですから、安全保障やプライバシーに関わるデータ以外は「オープン・バイ・デフォルト」(まず公開するのがあたりまえ)が基本です。「機械判読可能な形」で「データカタログ」として見やすい場所に集め、2013年夏までには公開し、広く利活用を促し、意見を求めるべきです。
「オープンデータ」の利活用が拡がれば、「パーソナルデータ」を含む民間「ビッグデータ」利活用普及の足がかりになるでしょう。
さて、「オープンデータ」の利活用を広めるためには、その利活用目的を明確にする必要があります。利活用目的はどんなデータが公開されるかによりますが、広く一般に利用価値が高いデータは、気象データ、地理データなどといわれています。しかしながら現状の訴求プロモーションでは打ち出しが漠然としていて印象がきわめて薄い。何よりユーザー任せになりすぎです。
今回は政府が国民と一体となったより良い国づくりをするために、安倍内閣が強力なリーダーシップをもって、政府「オープンデータ」政策を強く推進する大切なこけら落としです。政府自らが先頭に立って推進するのですから、ユーザー任せなどという弱気ではいけません。安倍総理が「国民のみなさん。日本政府が国をよくするために国家のデータを広く公開します。皆さんも一緒になって利活用方法を考えてください。そして一緒に良い日本を取り戻しましょう!」と言えるぐらいに、もっとずっと、力強く、政府が引っ張る形で、「より良い国づくりまちづくりのためのオープンデータ」政策を打ち出すべきです。すでに地方行政においては、行政と住民が一体となったまちづくりのためにオープンデータが多く活用されています。代表例としては、鯖江市、すでに10都市で採用されているWHERE DOES MY MONEY GO?などです。これらの実績を紹介しながら、各都道府県の行政と市民が一緒になってより良いまちづくりをする「オープンデータ」利活用キャンペーンを全国に展開しましょう。この活動が広まれば自然に行政の透明性も向上します。また、こうした政府「オープンデータ」による市民と行政が一体となったまちづくりの下地が出来ていれば、「番号制度」導入時においても「番号制度」が自分達のより良いまちづくりに必要であることが市民ひとりひとりにすぐ判ります。そうすれば住民基本台帳カードのような結果にならず、スムーズに制度普及するでしょう。

2.「ビッグデータ」と「番号制度」
個人情報保護・プライバシーに敏感な日本において、「パーソナルデータ」を多く含む民間「ビッグデータ」利活用をすぐに普及するのは困難です。一度漏洩すると企業の信用が失墜する「パーソナルデータ」の取り扱いに企業が慎重になるのは仕方がありません。
また「パーソナルデータ」の扱いが粗雑になると基本的人権の尊重といった民主主義国家運営の根幹に関わる部分に支障が生じ、国民の国家への信頼が失墜します。
さらに、もしプライバシー侵害を軽視した「パーソナルデータ」活用を安易に認めれば日本は外資企業にとって「パーソナルデータ」を含む「ビッグデータ」の格好の狩場となってしまいます。こうなっては絶対にいけません。日本は世界中のあらゆる国の「パーソナルデータ」を含む「ビッグデータ」が世界で一番健全かつ安全に扱われる国でなくてはなりません。そうすることが必ず将来、日本の国益に繋がります。
そうするためには技術的問題・本人同意のとり方の問題・個人情報保護法の改正等しっかりと改善しなくてはならない数多くの問題があります。
全く同じではありませんが類似した問題を「番号制度」も抱えています。そこで実施スケジュールがしっかり決まっている「番号制度」と平行して諸問題を解決しながら「ビッグデータ」利活用を本格的に推進するのが効率的と考えます。そうすれば、健全かつ安全な「ビッグデータ」利活用と「番号制度」普及が平行して推進できます。

以上