絵文字の未来について2009年に書いたこと

人◕‿‿◕人みんなLINEのスタンプについての質問に答えてくれてありがとう。w

以下、僕が2009年9月に書いた未来予測の文章より「絵文字」関連部分を抜粋し、少しだけ修正しました。CC-BY-NC-NDにて公開します。


ある時、ふっと・・・思ったのです。

「ああっ、もうほんとうに言葉は紙の上の言葉とWeb上の言葉は違うんだ。Web方が言葉は自由になれるんだなあ!なんせ、もう自由に動けるし・・・。」

思い起こせば、30年前に既に人気アニメ「はじめ人間ギャートルズ」で文字は元気良く空を飛んでいました。

Webの世界では文字や言葉はもっとずっと飛べるんじゃないかな?

そして・・・
Web時代の「表現手法」はどんななのかな。・・・と思ったのです。


・テキストとコンテキスト

そもそもWeb自体がハイパーテキストハイパーリンクの世界であります。

さて、「2人がいつもの喫茶店でママの話をしている。」という文章があります。

良くある話ですが、「2人」が男か女か、「いつもの喫茶店」は何?、ママは母親なのか、それともバーのママなのか?それらが判らないとこの文章の意味はわかりません。
コンテキスト、すなわち「文脈」「前後関係」「背景」が定義されていないとその文章は何を意味しているのか判らないのです。でもWebではどうでしょうか?

1.「2人がいつもの喫茶店でママの話をしている。」という文章で、
「2人」・「いつもの喫茶店」・「ママ」の情報が定義され、個々の情報が明確化されば内容は理解出来ます。ハイパーテキストを使い、
「2人」・「いつもの喫茶店」・「ママ」をリンクして情報を別に付けておけば、必要に応じて、別途詳細情報に簡単にアクセス出来ます。
紙の本で見られる難解な文章に対する脚注・注釈などの参照は、ハイパーテキストではよりあたりまえで便利になり、その表現力を高めました。

2.もしそれぞれのテキストにリンクした情報に写真があればより「背景」情報を含めた理解が深まります。

3.もしテキストにリンクしたムービーがあればより確実な「前後関係」「背景」情報を含めた理解が出来ます。

4.さらに3Dなどの特殊な表現技術で印象度や理解度を深める事も出来ます。

5.そして、Webの世界では比較的簡単に、そして自由に①−④を複合した創発表現が可能です。

・Webでの表現手法の進化

 紙の文章とWebの文章では、今後、文章の表現のあり方や進化の仕方がずっともっと異なってくるのではない でしょうか?これからWebの世界ではテキストとコンテキストの関係がどんどん近くなり、境目がなくなり、融合して、新しい表現手法がどんどん生まれます。
その結果として多くの人が新しい情報コミュニケーション手法を利用出来るようになるわけです。

文字自体にもそれは現れ始めています。
例えばケータイメールでは当り前の絵文字やデコ文字は、単なる遊びでなく、テキストがコンテキストの力を持ち強化された表現ともいえます。元気・愛してる・怒る等、多様な絵文字表現はそれぞれ絵文字1文字で十分に言葉を表現出来ます。デコメは動いてさえいます。動いた方が強いイメージを読者に与える事が出来るからです。これらはWeb時代の進化した文字とも言えます。

絵文字的表現を強化したりする事はそんなに難しくありません。例えば、ラブラブのカップル同士がメールするとして、

彼から、「2時に原宿のスタバでいいかな?」と書いたメールが彼女に届くと、
彼女の携帯には「2時に原宿のスタバでいいかな?」という文字表示と合わせて、
⇒原宿のスターバックスをバックに彼(アバター)がラブラブ絵文字表情で立っている。
⇒彼のアバター吹き出しで2時と言っている。
⇒画面をタップする。
⇒リンクした原宿スタバへの案内地図に変わる。

彼女が「いいわよ!」と音声で返事をする。
⇒自動的にメールが発信される。
⇒彼女のアバターが彼のアバターに抱きついた立体表現メールが彼の携帯で表示される。
なんていう事になります。
そんなとき、彼や彼女が、彼や彼女のアバターが世界に唯一のアバターである事や動作の意味する内容を直感的に認識出来れば、文章の表現手法は大きく変わって来るでしょう。
この例で、もしも、彼のアバターが2時を指した時計をしていたら、文章は全く無くても意味は理解出来てしまいます。テキストとコンテキストはある意味融合しています。

こんなふうにテキスト・絵文字・写真等はお互いに補完関係にあります。そしてそれぞれの特性を活かした組合せ表現は、今までの紙上での表現に無い新しい表現手法と言えます。

「絵文字」「デコメ」などの文字的表現手法、「ハイパーリンク」「ハイパーテキスト」といった情報リンク技術、バーチャルリアリティー、ブロードバンド通信技術、インターネット端末技術、そしてあらゆる物体上の表現手法・技術・・・。これらの創発融合は、「新たなる表現手法の時代」がやってきたことを意味します。