クラウド時代と<クール革命>を読んで

クラウド時代と<クール革命> 角川歴彦 著 3/10発売
http://www.kadokawa.co.jp/coolkakumei/

読みました。オススメです。
この本は「FREE」方式の事前プロモーションとして新刊発売前の全文ネット公開を行っていました。ですので発売前にマス広告やネットでもかなり盛り上がっていたようです。
でも最近、マスメディアをあまり見ないしTwitterのTLも見落して、社内ネットの個人投稿で本書の存在を知りました。その情報によると無料全文公開はNHKニュースでも取り上げられたらしいです。

さて本書、活字が大きく内容も判り易く誰でも読みやすい表現。
休み1日で十分読める内容。
新書版で税込み740円。買ってもいいかな?お手頃価格。価格設定は最近のTwitter本に近い気がします。

「未来予測」や「創発」が僕のテーマなので自分の考えと比較しながら読みました。
出版業界の偉人から多くの学ぶべき事があることを再認識しました。

じつは僕には、ひと昔前の角川歴彦アニメにおいて
角川歴彦が手がけたアニメ作品はかなり真面目」
という先入観があります。ですので
角川歴彦、間違えることはあっても自分自身に嘘は書かないだろう。」
とある程度信用しながら読みました。(笑)


感想に関してはネタばれになるので少しだけ書きます。

偉いのは、本書中、2014年の未来予測をしっかりと述べていることです。
大衆が真実や事実を良く知らないのをいいことに結果がある程度判ってから色々と評論したり、分析して判り易い言葉にして語ったりする人が沢山います。
競馬だってたった3分後の結果から誰でも色々語れます。そしてその分析は次回の予測に有意義でもあります。

でもいつもいつも過去の結果分析の延長線上に未来があるとは限りません。

イノベーションの現在、様々な人に真剣な質問をしてみましたが1年先の未来をしっかりと述べる人は稀です。イノベーションが拓くこれからの未来は僕たち自身が(多くの敵対勢力と戦いながら)作り出すのですから、未来に向けてどう転ぶか判らない様々な変動要素があります。
仮にかなりの確率で未来が予測できたとしても、自分にメリットがなければ余計なことは言わないで黙っている人が圧倒的に多いのです。オープン・創発の方向性へ時代は流れていますが、知識をどの程度オープンにして、どの程度エクスクルーシブにするかは国家・学会・企業・個人どれをとっても難しい判断が必要な時代です。

そんな時代に4年も先のことを自分の意見でしっかりと述べる。これは流石です。

たとえもしも外れる部分が多くても未来予測を行う者の姿勢はこうでなくてはいけません。そして出来うる限り僕もそうあり続けたいと思います。
正直、角川歴彦が述べる未来に対して懐疑的・反対の部分があります。知識不足は甚だしいですが意見を戦わせてみたいとも思います。もし出来たのならワクワク気分ですね。
でもそれは、角川歴彦がしっかりと自分自身の意見を述べているからこそ、僕が自分の意見を自分自身の中でより明確化出来るのです。そして僕自身の意見が生まれるのです。

クラウド時代と<クール革命>はオープンイノベーション時代への大きな問いかけです。
角川歴彦は本書を通じて自分自身の知識をオープンにして問題提起し、読者に多くの意見を述べて欲しいのでしょう。未来を模索して欲しいのでしょう。協力すべきところは協力し、そして戦わなければいけないところは戦って欲しいのでしょう。

「僕はこう考えるけど、貴方はどうなの?」

語りかける偉人「知の伝道者」に感謝致します。

それから本書にサマーウォーズに対する感想が出てきます。感想は僕も似たようなものです。そして僕がブログを再開した原因の1つはサマーウォーズにあります。7回以上劇場で観て、最近発売されたDVDも観ています。まあ人間気になることは結構似てくるものです。