過去日記3:「電子政府に関心を持つ原因:世界金融危機とIMFと世界トレンド」

つづき


4つの層以降
イデオロギー階層間の考えの差異に注目し 問題にアプローチし
問題を考えるときは 様々なイデオロギー属性の意見を読むようになった
少しめんどうでも答えを急がない これは結構大事である
物事を多くの見方で考えすぎるとかえって判らなくなるという人がよくいるが 
見方が判ればそんなことはない 必要な情報は必要なのだ
そして情報を集めてみると意外なところに真実への鍵があることが多い

2008年9月半ばに始まる世界金融危機の時もそうだった
色んな意見を読んだ 
未来予測の参考になったのは 
マスコミ報道・経済評論家/アナリスト等の意見ではなかった

日本共産党の「世界に溢れる投機マネー悪」に関するコメント

・転載:2008年エネルギー白書 第1章第3節「原油価格高騰への対応策」
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2008/index.htm

この二つは参考になった

そして最も参考になったのは

・転載:国連広報センター 
「国連ライブラリ連続講座−IMFとその資料」 2008年1月8日
■「IMFとその資料」−IMFの歴史と活動、今後の展望
http://www.unic.or.jp/un-ds/library-course/080108_imf01.html
の講座内容だった

この講座内容を読めば 僕だけでなく誰でも 二つのことを容易に推察出来る
世界金融危機は日本のバブル崩壊と同様に
その現象の危険性を事前に予測出来る人が数多く存在したこと
そして残念ながら
世界金融危機が迫った時点での回避は事実上不可能であったこと


このあと
「世界の出来事は国連情報が重要である」
そう考えて国連にときどき行くようになる
そんな中
国連アジア太平洋経済社会委員会(ESPAC)の記者発表出席直後
2009年4月2日のG20直前に 世界金融システムに仮説を立て 
その後1ヶ月の動きを観察していた
よくもまあこんなに長く書いた
すこし怒っていたのかもしれない

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

世界金融危機による景気の後退からの脱却」〜IMF改革の視点より〜

【概要】
世界金融危機による景気の後退からの脱却」−この世界共通テーマへ向けて世界各国が驚くべき速さでアクションを開始。4月2日G20での「世界の合意」前後を境にしてその動きは水面下から顕在化してきました。世界がかわっていきます。新たなるグローバライゼーション時代が始まりました。今回は、時代のターニングポイントである「世界金融危機」を下記のタームで考えてみました。


1.世界金融危機管理システムの仮説。(G20以前に立案)
2.G20でのIMF改革での各国の意向・イニシアチブを仮説から検証。
3.経済復興に向けた各国のアクションプランの概要をピックアップし考察。新興国の台頭。ドル基軸通貨にとらわれない国家間取引の始まり。世界協調、相互理解での世界の多極化。
4.「世界トレンド」
 
【アプローチ方法】
今回の「世界金融危機」に関しては、世界金融危機および世界経済復興について各国の意見が集約される4月2日のロンドンG20サミットが行われる以前に「グローバル・コンパクト2.0型世界金融危機管理システム・ネットワーク(仮)」という仮説を立て、その仮説と比較しながら、国際通貨基金IMF)の改革と4月2日のG20を境に活性化・顕在化した各国の動向に着目してみました。

【1 世界金融危機管理システムの仮説】
まず国連が世界金融危機で果たすべき役割について2009年4月2日のG20開催前に次ページの様な簡単な仮説立案を行いました。知識が乏しい物事を理解する必要がある時に私が良く使う方法です。
 仮説立案の目的はG20の各国の討議内容を自分自身の仮説と照合しながら自分自身の知識を修正し、今後の情報の判断基準を明確化する為です。さて次ページの「グローバル・コンパクト2.0型世界金融危機管理システム・ネットワーク(仮)」と名づけたこのシステムは、現行の世界金融危機管理システムに対し、
1.わかり易さ 2.オープン性 3.ネットワーク性 4.参加型 という4つの要素を加えたうえで、5.(既存システム自体の)安全性・機密性向上も同時に行うものです。
簡単に言うと、「国連主導型のお金の流れと量に関する情報を可能な限りオープンにした全世界市民的ネットワーク監視による世界金融危機管理システム」です。本音を言えばあまりにも理不尽な世界不況に対して私は何かを考えたかったのかも知れません。

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●「国連が世界金融危機で果たすべき役割」
「グローバル・コンパクト2.0型世界金融危機管理システム・ネットワーク(仮)」仮説
(2009年3月27日) 
《仮定》
世界金融危機」の仮定
世界金融危機は、ある意味「人類が自分自身で気づかない内に作ってしまった人類がコントロール不能なシステム」の稼動した結果の現れではないか?
科学技術では「人類に危険性が高い」レベルの研究は数多くあり完全なコントロールが必要な事は周知の事です。そして人間のレベルを超えたものの持つ危険性は人間が適切に認識できるとは限りません。
現に金融商品の多くの運用は既に人間では対応できずにコンピュータが行っています。
正確な数字は不明ですが世界のマネーは一京六千兆円もありGDPの3倍以上にのぼるともいいます。今回の世界金融危機では想像を絶する金額規模のノック・オン・エフェクト現象が発生し、人々に「知らないうちに起った人間の理解を超えた恐怖」を与えています。今後この恐怖が払拭されない限り、投資の活性化・マネーフローの健全化はないでしょう。
3月6日付けのIMFサーベイ・オンライン「IMF、世界的システミック・リスク管理のあり方の見直しを要請」ではIMF理事会は「政策当局による野心的な計画と強調行動の必要性も視野に入れながら、多岐に渡る是正が必要と考えている。」としています。G20の4月2日のロンドンサミットには注目が集まるでしょう。
確かに当面は緊急措置として見直し、是正が最優先なのはわかります。しかし人々の心に強く残る「知らないうちに起った人間の理解を超えた恐怖」イメージを払拭し、透明性・信頼性を持たせるには現行システムとは全く異なる、金融危機管理に新たなる革新をもたらす改善アプローチが必要ではないでしょうか?


《具体的意見・提案》

タイトル:
「グローバル・コンパクト2.0型世界金融危機管理システム・ネットワーク(仮)」

目的:

国連イニシアチブの人間が持続管理可能な透明性・信頼性・安全性の高い世界金融危機管理システム及びネッワークの構築。

金融危機・金融投資に関する知識と運用状況の一般情報のリアルタイム開示・情報共有による世界金融危機管理に関する知識の向上及び全体危機管理能力の向上。

ステークホルダー参加型の金融危機・投資管理ネットワークの構築。

人々の豊かな社会生活に対する有効投資の促進。
政治と豊かな市民生活社会創生活動の連動。
自律的改善可能なPDCAサイクルの構築。

内容:
その改善のイニシアチブは国連の公平な立場からのみ行えます。
グローバル・コンパクト2.0原則の世界金融危機管理システム・ネットワークへの導入を提案します。基本的にGC2.0の目的であるビジネス10原則の組み入れと国連の目標に支持する行動に対して触媒の役目をすることは現状通り。下記を金融危機管理原則として盛り込みます。※もちろん多くの金融機関が対応できるか十分に検討が必要です。

《グローバル・コンパクト2.0 金融危機管理原則 導入項目》
1.わかり易さ
2.オープン性
3.ネットワーク性
4.参加型
(加えて)
5.安全性・機密性

《グローバル・コンパクト2.0 金融危機管理原則 各項目概要》
1.わかり易さ
(投資マネーフロー全体概要・分野別投資マネーフロー概要・危機管理状況理解促進)
  世界の人口の何%人々が投資マネーを運用しているというのでしょうか?そして現在、投資マネーの運用の破綻の影響は全世界に及んでいます。資産運用に全く関係が無い人々にも大きな負の影響を与えています。投資マネーに関わる一部の人々にそんな権利はありません。ある意味では影響を受けた全員がこの危機的問題のステークホルダーといえます。それ故にこの様な世界に多大な影響を与えるシステムの仕組み・運用状況は常に誰にでも判り易く理解される必要があります。理解が促進され、相互コミュニケーションが活性化されれば結果として人々の生活に有効で健全な投資が推進され易い環境が形成されるでしょう。
 もちろん投資を行う人間がどう投資するかは自由ですので個別情報は極秘です。しかし社会生活に影響を与える投資マネーフロー全体の実態概要・分野別投資マネーフローの実態概要・危機管理方法とその状況はわかり易く説明される必要があります。

2.オープン性
(投資マネーフロー全体概要・分野別投資マネーフロー概要・危機管理状況情報開示)
1.と同様に理解促進のために開示が必要な情報はオープンにして周知し、場合によっては教育も行います。
分野別では例えばMDGs等の国連の様々な活動への投資の実態もリアルタイムに開示されます。一般企業や市民に投資マネーフローと危機管理状況が適切に理解されれば、結果的に豊かな人間社会形成に有効な投資への自発的な参画が期待できます。そしてこのような環境が形成されれば有害な金融商品自然淘汰され、豊かな人間社会に有効な金融商品が市場性をもちます。
  別の意味で情報公開の共通基準を決めて情報公開を積極的に推進することは潤滑な相互危機管理システム・ネットワークの構築にも重要です。

3.ネットワーク性
2.と連動して世界的な情報交換・相互監視の機能を発揮します。状況の変化への迅速な対応や柔軟な改善のPDCAサイクルの形成にはネットワーク性は不可欠です。

4.参加型
参加者が自由に意見を言えるCGMの思想。SNSなどを広く導入し、特に危機管理面と人間の豊かな生活社会創生への有効投資面で多くの意見を反映させます。

5.安全性・機密性管理(GC2.0原則が付加されなくても必要な部分)
金融危機を起さない安全性・不正ない安全性・金融商品としての安全性、これらの管理基準は重要です。また非実態経済は、実体経済の補完的な領域を完全に超えていると思われるので世界的レベルで実体経済への非実体経済の影響をどうリンケージして考えるかは非常に高度な危機管理能力が必要です。危機発生を想定した様々な事前対策の準備ももちろん必要なります。投資マネーフローの世界的把握が確実に行われている事が前提条件です。
これらの様々な高度な問題に関しては専門家が検討し具体策立案を行う最重要の領域となります。又、個人情報・投資情報の悪用に関わる部分は高いセキュリティーが必要となり悪用が不可能な状況が必要です。(オープン性からは相反する部分が発生しますが機密レベルが高い情報は開示されるべきではありません。情報セキュリティー基準適用し、機密レベルを明確化し情報開示レベルもそれに準じます。)

※1.〜5.を有効にPDCAサイクルで改善し持続します。

上記は、一般的なWeb上のネットワークコミュニケーションシステムやネットワーク管理システムの利点を金融危機管理システムになぞらえたものです。現在ある意味もっと高度な危機管理システムが構築されているでしょう。そして実際には各国の金融政策戦略の観点、金融関係産業の構造上の問題、軍事面への投資問題などから、わかり易さ・オープン性・ネットワーク性・参加型の導入に困難な面も多いと思います。しかしもはや事実上、金融危機管理問題は人類全員がステークホルダーとなった問題です。早急に出来る部分から始めるべきです。
人間は知る事が出来なければ考える事が出来ません。金融危機管理に関する情報および金融投資が人々の豊かな社会生活に与える影響に関する情報に限っては人間全員が知り、人間全員が考える平等な権利を持つべきです。それが国連・・・グローバル・コンパクト2.0が金融危機管理問題で果たすべき役割ではないでしょうか?現状有効な範囲で導入すべきと考えます。まずは危機管理原則の適用への賛同が重要です。システムへの適用は現行システムの状況により、順次行えば良いでしょう。
 現在、非実体経済実体経済からかけ離れた状況です。
投資という概念からかけ離れて生活している人が圧倒的多数として存在しています。
また金融政策が市民消費に反映せず実体経済に有効に機能しないケースも増えています。
金融危機管理システムにおけるわかり易さ・オープン性・ネットワーク性・参加型の原則の導入はステークホルダー全員がセーフガードとなった金融危機の回避、人々の豊かな社会生活への投資の有効活用、そして政治が人々の豊かな社会生活と密接に連動することに繋がります。そしてそれらのアクティビティーは自発性・自律性をもちます。そこには豊かな人間社会前進への大きな可能性があるのです。
先進諸国においてはすでに金融危機管理はわかり易さ・オープン性・ネットワーク性・参加型の新時代を迎えたのではないでしょうか?国連が触媒となり人々の豊かな社会生活への投資をステークホルダー全員(国家・企業・市民社会)で考えるグローバル・コンパクト2.0の原則を積極的に金融危機管理システムへ導入、最適化させたものが「グローバル・コンパクト2.0型世界金融危機管理システム・ネットワーク(仮)」となります。
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【2考察】
【2−1 ロンドンG20の結果概要】からの考察

1.全く新しい世界金融危機管理システムではなく、現行システムの見直し改善ではあるが実効力が高い、国連⇒IMFが主導する金融危機管理システムの改革が進行中。

2.世界金融危機への世界共通の認識は十分。スローガンでなく具体的な施策の実施が世界中で進行中。

3.IMFの改革
融資枠2500億ドル⇒7500億ドルに増額
※SDR建て債権(2500億ドル)新規配分
フレキシブル・クレジットライン(FCL)新設
中国・ロシア中心BRICsが「新たな国際準備通貨創設の可能性支持」

4.金融安定化理事会(仮)の設立?
銀行や格付け機関ヘッジファンドに対し監督・管理、タックスヘイブン租税回避地規制)⇒投機マネーの透明性・金融機関の健全性強化

5.新興国・途上国支援に1.1兆ドル支援策

6.2010年末までの5兆ドル規模の財政刺激策
など・・・。

G20にて世界各国は「世界金融危機」を全世界共通の極めて重大な問題として共通認識し、世界経済の回復の為に金融システムの見直し・具体的改善を始めました。世界が選択したのは、私の提案にある、ある意味理想論的な「金融危機管理に革新をもたらすまったく新しい改善アプローチ」ではなく、「現在の経済危機と金融危機再発防止に実効力の高い現行のシステムの見直し・改善」です。しかしながら世界各国が「新たなる世界金融システム」へ求める要望は私の要望と大差はありません。世界各国は公正で、公平な、隠し事のない、危機管理能力がある事が誰からも理解できる、絶対に世界金融危機を再発しない、「世界金融危機管理システム」を望んでいます。世界各国ともに自国の経済復興が最優先なのはもちろんですが、世界全体レベルで金融危機管理がなされないと自国の経済が危険にさらされる事はわかっています。

【2−2 IMFの予期していたIMF自身の問題点】からの考察
 最近、国連のセミナー関係を調べて判ったのですが、既に昨年からIMFは能力に限界を感じていたようです。国連大学にて2008年1月に行われたセミナーの中では既に大きな問題点が挙げられていました。

IMFの予期していたIMF自身の問題点>
IMFの歴史と活動、今後の展望」(講師:IMFアジア太平洋地域事務所長 有吉 章)(2008年1月国連セミナー概要より抜粋)

「クローバライゼーションの中で一体、IMFは、通貨の安定という基本的な役割をどうするか?政策協調の問題、サーベイランスの問題です。これから新しい時代にあった融資機能をどうするか。それから新興市場国、アジアを含めて、従来の先進国、ヨーロッパ、アメリカ、日本などを中心とした、IMFの発言権、決議権のバランスをどう変えていくか、と言った課題です。」

《①サーベラインスの問題》
 一番問題なのが世界の国際収支の構造です。・・・米国が巨額の赤字、他の国、中国、日本、産油国が大幅な黒字と、極めて対照的になっている。・・・アメリカがこれだけ借りているけれども、いったい本当に返すことができるのかという不安が出てきたときに、どうなるかという心配がある。そうなる前に大幅な不均衡が解消できるか。その中で、どういった役割をIMFが果たしていけばいいのか?

《②資本移動の増加問題》
 もう一つがアジア危機、その他にもありましたように、非常に世界の資本移動が増えています。例えば先進国地域で見ると、資本フローの合計がGDPの約30%になっております。途上国でも最近急激に拡大しています。こういった中で資本の流れが止まった時、危機が起きるわけです。以前であれば、資本の流れのGDP比は比較的小規模でしたので、IMFが貸してあげて、あるいは政府や民間銀行が政府のお金を入れて埋めることができたのですが、もうIMFのお金だけでは足りない。・・・

《③代表権、議決権と関連する出資割合の見直しの問題》
国連では一国一票ですが、IMFでは世界の経済通貨体制に対して責任が強い国に発言権が多くなる。・・・基本的に経済規模に応じた出資割合と投票権があたえられます。クォータ比というのがIMF・・・これはGDPだけで決まっているわけではなく、GDPや貿易量で式を算出します。・・・いろいろなところで経済の実態が出資バランスに反映していない、ということがあります。経済実態と離れたかたちで一部の国、地域が過大な発言力を持っていては審理に影響するということで、今大きな見直しが行われているのです。

【2−3 IMFの問題点と現状の改善ポイント】からの考察
ロンドンG20IMF改革の概要から前述の国連セミナーでのIMFの問題から考えると、
世界金融危機は、ある意味「人類がその危険性に気づきながら事前に安全策を構築出来なかった人類がコントロール不能なシステム」が暴走した結果の現れ。
という表現が適切ではないでしょうか?

IMF《①サーベラインスの問題》に対応した改革ポイント
各国の外貨準備高の大半がドル建てである現状から見て、今回の世界金融制度改革で提起された最も印象深い提案は、「今回国際金融危機が発生し、世界中に波及したのは、既存の国際金融制度(ドル一極体制)が持つ固有の脆弱性とシステミックリスクの表れだと指摘。国際金融制度改革にあたり、個別の国のリスクから独立し、長期的安定を維持できる主権を超越した国際準備通貨の創設が必要。」「基軸通貨の発行国は、世界に流動性を供給しつつ通貨価値の安定をはかることはできない。」という中国人民銀行周総裁の意見でしょう。ドル依存型ではないSDRによる「新たな国際準備通貨創設」とドルの軟着陸の動向は今後、世界金融制度変革の重要ポイントとなるでしょう。
 また、金融安定化理事会(仮)の設立?銀行や格付け機関ヘッジファンドに対し監督・管理強化、タックスヘイブン租税回避地規制)は投機マネーの透明性・金融機関の健全性強化を要求しています。
 これらの提案内容はIMFの重要な改善ポイントを提起していますがまだ結論が出た訳ではありません。結論が出るまでには多くの協議を必要とし、時間もかかります。しかし、世界各国は結論が出るまで待ってはいません。この問題の改善の動向を見据え、場合によって意見しながらパラレルに自国の経済復興施策を実施していきます。

IMF《②資本移動の増加問題》に対応した改革ポイント
 IMFの改革の中で「世界金融危機」現状に高い実効力を持つのはこの部分です。
実際の投機マネーフローの量的実態が明確化された訳ではないのでIMFのセーフティーバルブとしての機能に十分性が伴っているかは判りませんが、資金基盤強化としてIMFの融資可能融資枠2500億ドル⇒7500億ドルに増額で対応。新たな信用枠制度フレキシブル・クレジットライン(FCL)の新設。低所得国を対象とした融資制度の改革等。IMF金融危機管理における実効力の大幅な能力拡大を図っています。
 これはある意味超膨大化したマネーフローに対し、IMFは資金の増強・融資力の強化で対応するということです。この方法は確かに現状の経済復興、将来の経済危機への耐性に有効であるのはわかります。そして世界各国はIMFの融資制度改革で自国に有効な面はどんどん活用していくと思います。しかし結果として、ただでさえ膨大化したマネーフローをさらに膨大化させる事になるIMFの対応策が内包する危険性に恐怖を感じます。資本主義の特性上、マネーの膨張は必要ですが、実体経済とかけ離れるマネーフロー、両者のあまりにも大きな隔たり、そのアンバランスは大きな危険を内包しています。


IMF《③代表権、議決権と関連する出資割合の見直しの問題》に対応した改革ポイント
IMFにおけるクォータ(各国の投票権等の基礎となる出資額)の改革と基礎票の改革は「経済実態と離れたかたちで一部の国、地域が過大な発言力を持っていては審理に影響する」という出資割合の問題と投票権の問題のバランスをとるものです。
IMFは当初、各加盟国は基礎票の250票に加え、クォータ10万SDRごとに追加投票権1票が与えられる。というIMF協定に基づき議決権数を決定していました。これは議決権数を決めるための2つの基本的考え方をバランスさせたもので、ひとつは、IMFの金融機関としての役割から、加盟国の議決権は出資規模を反映したものであるべきだという認識にもとづいたものです。もうひとつは、IMFが多国間条約を通じて構成される政府間機関であることから、国際法の下での国家の平等に十分に配慮する必要があるという考え方です。基礎票の役割はクォータが平均以下の加盟国全体(その多くが低所得国)にとって相対的な議決権の増大をもたらすことになります。
最近のIMFにおけるクォータ(各国の投票権等の基礎となる出資額)の改革と基礎票の改革は新興国市場でのIMFの役割と責任を強化すると言われています。
まずクォータ配分シェアが購買力平均ベースからみた世界GDPシェアより大幅に過小評価されている中国、韓国、メキシコ、トルコの4国、新興国、および発展途上国はクォータ割当増となりました。また全加盟国の基礎票を3倍にする事で全体の投票権に対する基礎票の比率を2.1%から5.5%に拡大し、低所得国の投票権の強化を行いました。また多数加盟国を代表する選出母体に理事代理を増員することでアフリカブロックを代表する理事が恩恵を受けることになります。その結果、今後議決権シェアが最も増えるのは、ブラジル、中国、インド、韓国、メキシコの各加盟国です。IMF投票権・議決権は以前より現在の経済情勢・国際情勢にスータブルになったと言えます。同時に以前より先進国主導型から新興国主導型になったとも言えます。

【3 かわる世界 多極化する世界の力・多重化する世界の関係】
2009年4月2日、ロンドンG20サミット、この日の「世界経済復興に向けた協調」を契機として水面下にあった世界各国の経済政策は一気に表面化し、各国のアクションが顕在化しました。各国は準備を行い、自国の経済政策プランを胸に秘め、じっと時を待っていたのです。IMFを中心とした「世界金融危機管理システム」の改革と経済復興に向けた各国のアクションは、ある意味、多極化する世界の力・多重化する世界の関係を現しています。
G20直前にBRICs諸国は「全IMF加盟国に対するより焦点を絞った公平なサーベイランス(政策監視)が重要であると考える。特に主要国際金融センターと、大規模な国境を越えた資本の流れを有する先進国も例外ではない。」としています。IMFの議決権の拡大に伴い、中国を中心としたBRICs諸国は新たな世界基軸通貨を主張しています。ロシアもそれを支持しています。中国とブラジルは両国間の貿易決済を従来の米ドルを介する方法から転換、ブラジルの通貨レアルと人民元で直接行う協議を開始する模様です。ブラジルとアルゼンチンは既に貿易決済で両国通貨の使用を開始。中国人民銀行もアルゼンチン中央銀行と両国通貨を貿易で使うための通貨交換協定を結んでいます。このように新興国間ではドル外しの兆候が見られます。そしてつい先日、中国は貿易代金の決済に「人民元建て」を上海などで試験的に導入する方針を決定、人民元の流出地域を東アジア中心に絞りながら通貨政策への影響を慎重に判断しながら試行していきます。しかし韓国はあまりに急進的な中国の動きに自国との市場競合の懸念を見せています。これらのニュースはG20から約2週間で矢継ぎ早に発表されています。
エネルギー輸出戦略をGDPの中心とするロシアにとって、ただ単に米国に反対という理由ではなく、基軸通貨の安定とエネルギー輸出先確保は最重要問題です。
米国としてはドルの下落はある意味、自国の輸出増に繋がり経済復興には短期的には都合が良いので今は静観しているのかも知れません。しかしドルの世界基軸通貨を崩す意思はないでしょう。但し米国は当面、自国のGDPの2倍はありそうといわれる金融資産処理に追われます。金融機関健全化なくして基軸通貨としてのドルの全面的な信頼の回復は無いでしょう。それにはしばらく時間がかかりそうです。
米国は現在、苦境のなかにありますが、良い意味で自国の都合を他国に過剰に押し付けない、グローバルな協調への強い意思が見られます。世界各国、特に今後、勢力を拡大する新興国はその姿勢を良い方向に捉え、無用な対立を起こさないように注意をするべきだと思います。力の対立がおきては、世界は進歩的なグローバリゼーションには入りません。
独・仏などの西欧先進諸国は着実に自身と周辺と世界を見つめながら、旧東欧諸国のユーロ加盟によるユーロ圏の拡大を図っています。「世界金融危機」を契機にユーロ圏拡大は加速化するでしょう。もちろん新興国の市場も見据えています。そしてヨーロッパは「豊かな人間社会の創生のための包括的・持続的開発」における各分野のアクションプランを先導する新しいリーダーシップを目指しています。次回のG20でそれらは明らかになるでしょう。
こんな風に「世界金融危機管理システム」⇒「IMF改革」⇒G20前後の世界各国の動向を追ってみるだけで多くの事が判ります。世界各国は「世界経済復興」という共通の認識を持ちながらも、各国のそれぞれの事情で、各国が独自の意思を持った対応を行い、周辺諸国の動きを相互把握し、協力しながらさらに自国の戦略を立案し実施していきます。
例えば中国は自国と国民の繁栄の為に、自国の経済成長性を武器に対米、新興国内、東アジア、EU、ロシア、日本・・・様々な国に対して、地域に対して、世界でのイニシアチブを見据えて・・・。多重的外交政策を展開し、・・・発展に繋げて行くのでしょう。
世界はさらに大きく変わります。さあ日本はどうするのでしょうか?
米国との協調を続けながら、中国とは通貨スワップを行い貿易の安定性をはかるのでしょうか?アジア共通通貨(ACU)構想を推進し、アジア諸国内の経済圏での貿易を活性化させるのでしょうか?ロシアと協定を結びエネルギー輸入と工業品輸出貿易を活性化させるのでしょうか?

【4 「世界トレンド」】
私が「世界金融危機」を個別テーマの最初に考えるのには理由があります。
本来なら、世界には多くの考えの人が居るので、「世界の人々が分かり合う」のは本当に難しい事です。
では「人類の空前規模のグローバルな協力の機会」はなぜ急に訪れたのでしょうか?
残念ながら人類の相互理解・自己犠牲的な精神・博愛主義からではないと思います。
多くの国の事情に当てはまるのはたぶんこんなストーリーです。
それは現実的な3つの要因「世界金融危機」⇒「多極化する世界の力」⇒「気象変動問題」からやってきました。そのうち「世界金融危機」「気象変動問題」は最近人類が抱える事になった、逃げたくても逃げる事が出来ない、人類全体へ突きつけられた脅威です。人類は自らが脆弱性を持つ事に気づきました。そして発生するリスクは回避しなくてはなりません。2つの脅威−「世界金融危機」「気象変動問題」は本来なら互いを比較出来る種類の脅威ではありません。しかしもしどちらの対応を優先するかといえば「世界金融危機」です。多くの国々の経済は最悪の状態です。緊急に解決し、経済を復興しないとどうしようもありません。世界はこの問題を全員で協力して解決に向かいました。
そこには「多極化する世界の力」の時代が訪れていました。一極への力の集中がなくなり、世界共通の問題に対して各国が本音で話し合いをし易い、協力し易い土壌が出来上がっていたのです。
そして各国は経済回復策として世界共通の問題である「気象変動問題」などに対応した豊かな人間社会創生のための包括的・持続的開発」に具体的アクションを起こし新たな産業基盤とする最大の機会を得たのです。
 本来はパラレルに存在する3つの要因が世界共通の認識で結びつきました。「人類の空前規模のグローバルな協力の機会」はこうしてやってきました。それは歴史が引き起こした一種の奇跡です。実にいつなくなっても不思議ではない微妙なバランスの上にそれは成立っています。この機会は世界が協力して掴まないとなくなってしまいます。
 各国の自国経済復興のアクションは、そのままこれからの時代の「世界トレンド」となります。前述したとおり各国の意見はそれぞれです。それは自国の将来がそこにかかっていて、各国の真剣さが意見に現れているからです。どの国も自国の都合やメリットをないがしろにして「世界金融危機」問題と経済復興に取り組んではいません。しかし、驚くべき事に多くの国々は賢明にも「人類の空前規模のグローバルな協力の機会」が奇跡的にやってきていて、この機会を掴まなくてはならないと考えています。特にEU諸国、米国などの先進国は明らかに世界協力の下で始まる新グローバライゼーションの時代の到来を明確に意識しています。そして、日本は先進国の代表です。世界協力の下で始まる新グローバライゼーションを先導していく立場です。よって自国の経済復興もテーマ「豊かな人間社会創生のための包括的・持続的開発」を明確に意識して行うべきでしょう。

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ひさしぶりに読んでみて
なぜ電子政府にかんしんがあるかが
なんとなく わかるきがする

過去日記はこれでおしまい