経済産業省_第 26回産業構造審議会情報経済分科会

経済産業省_第 26回産業構造審議会情報経済分科会を傍聴しました。


【背景】

5月17日16時〜18時に第26回産業構造審議会情報経済分科会が開催されました。本分科会はICTによる日本の成長戦略を討議するいわゆる有識者会合です。

本分科会の開催目的は、
IT戦略本部、産業構造審議会産業競争力部会の討議内容とも連動し、日本の成長戦略(6月)に向けての具体的な政策を立案することです。

また、本分科会は、府省庁として日本で初めて、広く国民の意見を政策に反映させる仕組みである「経済産業者アイデアボックス」を直接導入したことで知られています。


【議事概要】

さて、今回は、産業構造審議会情報経済分科会シリーズの最終回でした。

議事は、まず経済産業省から、これまでの議事内容を集約した資料説明がなされ、それに対し有識者が意見を述べる形で進行しました。

 (参考資料)
 転載:産業構造審議会情報経済分科会(第26回)-配付資料
 http://www.meti.go.jp/committee/materials2/data/g100517aj.html

会議中の情報公開および、傍聴・視聴の一般参加者が、リアルタイムに、自由に意見をコメント出来るようにするため、

・転載:ニコニコ生放送_第26回産業構造審議会情報経済分科会
 (2カメを本格導入!)
 http://live.nicovideo.jp/watch/lv17016774
 プレミアム会員(有料会員)はタイムシフト予約可能
 [視聴権] 使用期限: 2010/05/24(月) 23:59:59まで

Ustream放送(経済産業省認可。個人iPhoneによるプライベート生放送)

Twitter ハッシュタグ #openmeti

が導入されました。
Twitterについては、@hideharus さんが「トゥギャッター」

 転載:第26回産業構造審議会情報経済分科会(2010/05/17)実況関連ツイート
 http://togetter.com/li/21786

を編集して下さっています。


【傍聴して印象に残ったこと】


1.2013年までの国民ID導入を強く発表。

本分科会の内容が必ず実現する訳ではありませんが、5月11日付のIT戦略本部(内閣府)資料と同様の参考資料が本分科会でも配布され、2013年までの国民ID導入を強く発表しました。

本分科会における多数の政策具体案のなかでも、特に、2013年国民ID導入とオープンガバメント推進の二つは、法改正、市民意見の導入等、多くのハードルがあるので、政府主導でないと推進が困難です。

また、マスメディアとソーシャルメディアが協力し、一般市民への周知や問題提起もしっかり行わなくてはいけないと感じました。
僕とほぼ同意見の委員もいらっしゃいました。


2.日本独自のクラウド技術推進

ある委員から、クラウド技術に限定すれば、日本独自の技術開発推進は、まだまだ世界に十分競合できる余地がある。海外競合は一般的なイメージほど、実質的に圧倒的アドバンテージを持っているわけではないとの意見がありました。

クラウドには、使い方によって極端な一極集中・多極拡大の力があります。
例えば「販売・サービス業」におけるコンテンツ・流通・サービスを統合するICTプラットフォームを構築する際にクラウド技術を使います、これらの力を一つの勢力があわせ持つと、「販売・サービス業」を大きく変革する一極集中・多極拡大の新しいビジネスモデルが構築出来ます。インターネットによりコンテンツ流通における「距離」と「時間」の問題がほとんどなくなりますので、特にコンテンツがデジタルコンテンツであればなおさらです。容易に世界中で市場展開できます。リアルコンテンツであっても、その地域の流通拠点を持てば、店舗が無くても「販売・サービス業」が展開できます。

そんなわけでクラウド技術により、一つの勢力が世界中の人を相手にビジネスすることは、これまでより簡単になりました。この力があれば世界中でかなりの寡占的な市場形成が可能ですので、最近、M&Aがどんどん行われているわけです。

「販売・サービス業」に大きな変革をもたらすクラウド力は、急激な市場構造変化をもたらします。そして普通に

「せめて日本上空には日本独自のクラウドがあってほしいなあ。」

と思うわけです。


3.世界標準獲得におけるプレゼンテーション教育の必要性

 この意見は、本分科会だけでなく、ほかの複数の分科会でも上がったそうです。

そのとおりなのでしょう。賛成です。そして、グローバルなイニシアチブには、やっぱり英語力は基本なんですね・・・。

 
4.21世紀のパラダイムシフト

村上輝康委員 (㈱野村総合研究所シニア・フェロー)より、高次化・高度化・高付加値化という考え方自体が20世紀に縛られた考えである。今まではICTを高次化、高付加価値化方向で考えてきたが、グローバル市場はコスト削減で勝負する市場ではないのか?
ものづくりに偏していないか?
サービス戦略をもっと行わなくてはならない。との意見がありました。

フリーミアムは、あまりにも海外からの経済戦略的意図が露骨で、本当であっても、あまりに受身であります。そのため、ついつい敬遠しがちなのですが、

「日本が独自性を持ったどんなサービス戦略を、グローバル市場に展開できるのか?」

これであれば、素直に受け止められます。

「日本の経済成長、豊かな生活社会の創造は、
日本人の意思・独自性によってなされなければならない。」

こんな日本みずからが新しいサービスを創りだす響きがある、
村上輝康シニアフェローの意見は好きです。
ソーシャルメディアを通じて、ご意見を交せましたし、お会いできて光栄でした。

最後に、日本のオープンガバメントへの力強い一歩を示していただいた、素晴らしい経済産業省の試みと、その担当者に感謝します。
そして、日本の経済成長、日本の豊かな生活社会の創造に繋がる、日本のオープンガバメント誕生を強く望みます。

僕も一市民として一緒に考え、そして応援します!