7.24.リアル熟議に参加して_その3

・・・続き


「障害者教育に関して、デジタル教科書はどんな可能性があるのだろうか?」

この疑問に関しては、幸い日本電子出版協会や出版UD研究会に参加していたので電子書籍の専門家や障害者の方々に直接意見を聞く機会がありました。特に先月、今月、出版UD研究会と日本デイジーコンソーシアムの下記イベントに参加できたのは参考となりました。


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転載引用:第28回出版UD研究会(6/12)
電子書籍端末をさわって見くらべよう」
http://blog.goo.ne.jp/ud-pub_blog/e/7ee3d97019b08d8f7552a094d840def7
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このイベントでは晴眼者と視覚障害者の方々が分け隔てなく参加して、iPadキンドル、nookなどをはじめとした様々な電子書籍端末を実際に体験。長い時間ではありませんでしたが、電子書籍で文章を読むばかりでなく、音声読み上げ機能も実際に試してみて、見やすさ・聞きやすさ・操作のしやすさを人それぞれに試しました。また、視覚障害者の方数人が事前モニターをした感想を述べました。講師の先生は電子書籍に超詳しい日本電子出版協会の藤原先生でしたのでどんな質問にもスムーズに対応されていました。

米国は電子書籍端末へのバリアフリー対応は基本的に進んでいるので音声読上げはしっかりしていました。特にiPadへの障害者の方々からの評判はかなり高かったです。晴眼者の僕からすれば、すべすべ表面のiPadは指の感覚でボタン位置等がわかりづらいのかと思いましたが、画面の拡大縮小の自在性、画面上の項目を読上げるVoiceOver機能は、まさに最初から視覚障害者の利用を想定したものでありました。
(この機能はiPhoneにもあります。設定→一般→アクセシビリティ→VoiceOver)


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転載引用:「DAISYEPUBは読書のユニバーサルデザインをどう実現するのか」 (7/9)
日本デイジーコンソーシアム 会長 河村宏
http://blog.normanet.ne.jp/atdo/index.php?q=node/83
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転載引用:(財)日本障害者リハビリテーション協会(JSRPD)
DAISYとは、Digital Accessible Information SYstemの略で、日本では「アクセシブルな情報システム」と訳されています。
ここ数年来、視覚障害者や普通の印刷物を読むことが困難な人々のためにカセットに代わるデジタル録音図書の国際標準規格として、50カ国以上の会員団体で構成するデイジーコンソーシアム(本部スイス)により開発と維持が行なわれている情報システムを表しています。DAISYコンソーシアム公認のオーサリングツールを使ってデジタル図書を作ることができ、専用の機械やパソコンにソフトウェアをインストールして再生をすることができます。国内では、点字図書館や一部の公共図書館、ボランティアグループなどでDAISY録音図書が製作され、主な記録媒体である CD-ROMによって貸し出されています。
http://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/about/index.html


まだこれからの部分も多いのでしょうが、DAISY4(日本デイジーコンソーシアム)とEPUB3(日本電子出版協会)は双方を考慮しながら標準化や開発が進むといった講演内容でした。
講演中河村会長はDAISY4の大きな枠組みの中にEPUB3が含まれるような図解スライドで説明していらっしゃいましたが、これはまだどうなるか判らない部分もあります。しかし、いずれにせよEPUBDAISYの互換性はかなり高いものが期待できるのではないかと考えています。「文章は簡単に音声変換される時代」それはまさに視覚障害者のためにあるような技術に思えました。
関連記事として毎日jp様が動画ダイジェストなどもある良い記事を書かれています。下記タイトルでググってみて下さい。
タイトル引用:《電子書籍》DAISYとEPUBで実現する読書のユニバーサルデザイン−−河村宏会長が講演

こんな体験をするうちに僕は、「視覚系障害者の方は、もし音声で入試が受けられれば科目によっては健常者と同じ内容に近い受験が出来るし、授業だってかなり同等に受けられるのではないだろうか?デジタル教科書などのIT機器の導入は、まず視覚系障害者の可能性を拡げるところから始めるべきではないか?」と考えるようになりました。