人間と科学技術の未来予測(番外編)_「サマーウォーズについて」

あけましておめでとうございます。

年頭にあたり、今年がどんな年になるのかを考えて見ました。
ふと、思い出したのが映画サマーウォーズでした。

まず2009年8月3日に書いた僕のブログから。
サマーウオーズ!観ました! - ultoの日記


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サマーウォーズ!観ました!面白いです!文句無く!満点!

封切り2日目、日曜日!レイトショー2010start!

素晴らしい時間を頂きました。

観劇者は、中学・高校生中心ですが・・・、少しわたし的層も。

すっごく、日本のみんなが元気になる映画なんです!

ただ、私はずっと考え続ける事になりました。

・・・OZ

・・・世界のみんなが集まる情報コミュニケーションプラットフォーム
・・・それは・・・世界政府となりえるもの・・・そのあるべき姿は?・・・

とにかくテーマが私の興味に近すぎます。

世界政府・・・その成立の可能性は高いと思います。

そして、そこには2つの異なる大きな存在が仮定されます。

1つはICTの可能性を最大活用した新しい管理システム。

世界の情報が正確に管理システムに収集・集約・一元管理される。

そして、それは役立つ情報や、お金、商取引、コミュニティーサイト・・・。
それらが世界のみんなに平等に分配され、開放ているという、夢のプラットフォーム。

それはもう限りなく世界政府に近いモノ。

そのプラットフォームの中心には何があるのでしょうか?

Googleの人工政府を目指す一企業。

世界市民連合政府。

世界の有識者

そこに今のイメージの国境はあるのか?

もう1つは、今の管理システムの発展形。

国連・国家に代表される世界を維持する仕組みがICTのサポートにより完成する。

それは、

個⇒家族⇒地域⇒国家⇒国際的な協力地域⇒世界
というある意味階層的な討議による管理システムがインターネットにより発展し、
人が離れていても強いコミュニケーション能力を持ち、真実と思われる情報が提供され、情報共有する。
それにより人が嘘がつきにくくなる。結果、互いが牽制しあう状況が発生し、戦争が起りにくくなる。
世界の持つ問題をみんなが考えるようになる・・・。

それはやはり世界市民政府でしょう?
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早いもので、このサマーウォーズ封切りから1年と5ヶ月が経ちました。
結局、僕はこの映画を劇場で8回も観ました・・・。

当時僕は「階層型未来予測」において世界全体の構造変化を俯瞰的にとらえるべく情報収集活動中でした。

大きな世界全体の構造変化が進行している実感は十分にありましたが、
変化の方向性やスタイルを把握するために情報収集が必要だったのです。

情報収集は、ネットやマスメディアよりも
国連をはじめ科学技術や政治・経済やITに関する政府系セミナー等
への参加や専門家の方々への直接質問を優先的に考えていました。

その理由は、
・いまの状況を正確に判っている人は多分いない。そしていずれにせよこれから人類自身が様々な状況認識⇒判断を行い、
 その結果により未来が象られることになる。
・自分で調べて判らないことは、より知っている人に訊くか、討議して考えないと答えは決して見つからない。
・マスメディアやソーシャルメディアやリアルの情報内容はそれぞれに乖離しつつある。
などです。

・・・とにかく機会があれば情報収集に出かける毎日でした・・・

そんな時に出会ったのが映画サマーウォーズです。
SF・アニメ大好きな僕はもちろんこの作品自体が大好きなのですが、
さすがにそれだけで8回も観ません。
前述のブログから、当時、一番の関心はこんなことでした。

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「情報交換・情報共有領域においては「距離」と「時間」を光の速度で縮める
ICT技術が世界情報の一元管理可能な社会の実現を示唆している。」

上記のようなコンテキストにおいて、

「「個⇒家族⇒地域⇒国家⇒国際的な協力地域⇒世界」という
伝統的かつある意味階層的な世界全体の管理システムを持つ人類社会は
どんな影響を受け?
どんな選択をするのか?
その結果、世界全体の構造はどのように変化するのか?
人類社会にとってそれはどんなカタチが望ましいのか?」

これを考え続けることはすなわち人類の未来予測になる。
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僕の体験を思い起こしてみると
この映画の直後、9月初頭に視察した「北京国際ブックフェア2009」では、
目当ての電子書籍モバイル端末展示が無く、最大小間出展予定だったGoogleは出展を中止。
建国60周年記念パレードリハーサルの天安門を地下鉄は通過し、バスは郊外に停車しました。
天安門周辺のビルの明かりは消え、街全体が薄暗く、
なぜか僕のiPhoneGoogleマップは正確な位置表示をしません・・・?
いま振り返るとちょっとだけ夢のようです。

形こそ違いますがほぼ同時期に日本においても
「デジタルコンテンツ」や「電子書籍」産業育成へ取組は
企業のみならず著作者や日本政府機関や国会図書館もその全体方針決定に加わった
日本全体レベルの検討プロジェクトとなりました。
そしてあっという間に市場競争時代に突入しています。

中国と日本。各々のアプローチは違いますが、どちらもインターネット時代に
「デジタルコンテンツ」「電子書籍」を自国の産業育成⇒経済成長や
豊かな生活社会の創造に役立てるべき国策と考えている点は同じです。


また、次月の2009年10月にはオープンガバメントの取り組みの魁として経済産業省
「電子経済産業省イデアボックス」を初めて実施しました。

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※転載:■ 電子経済産業省アイディアボックス
経済産業省では、2009年10月14日から、2009年11月14日(土)まで、
電子政府の取組に関して、国民の皆さまに声をお寄せ頂き、さらに、参加者同士で情報交換、
議論をしていただくサイト「電子経済産業省アイディアボックス」の実証実験を実施しました。
現在の取組については、「経済産業省アイディアボックス」をご覧ください。
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/e-meti/ideabox.html
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インターネットを有効活用し、電子行政のアイデアや政府の政策についてより多くの国民の
意見を募集する試みは、その後も、ハトミミ.com、熟議カケアイ、経済産業省イデアボックス、
オープンガバメント・ラボ、国民の声、などへ拡がりを見せています。

最近のトレンドとして、昨年12月に菅総理自身がも積極的な取組みを発表した
「税と保障の関係明確化のための共通番号制度」や「国民ID制度」の導入は、
日本のオープンガバメント化と併せて考える傾向も出てきました。
そして僕自身も(仮定レベルで)そうあるべきではないのか?と考えています。

最後になります。
以下は僕自身のtwitterから転載です。

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2011年1月1日
ただ最近思うことは、目的を持って情報収集をしていてもそれだけで非常に時間がかかるということ。
自分のやりたいことに集中する為にはある程度情報をシャットアウトしないといけない。
すなわち情報量が飛躍的に増えている。

2011年1月1日
2011年⇒「インターネットの情報共有性・情報公開性やICTの光の速度で「距離」と「時間」を縮める能力。
これらを日本の生活社会創造のためにどう具体的に役立たせるのか?」という重要なテーマを
専門家ばかりでなく一般人を含む多くの人達が討論して考える年になる。
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S-Fマガジン2月号※の4Pに「東京ユビキタス計画」で未来が変わる。という記事があり、
TRONプロジェクトの坂村健教授のメッセージが載っています。その一番最後には、
「今や情報通信の世界ではSFと現実の境界面はますます薄くなっているのです。」
と書かれています。
S-Fマガジン2011年2月号=最新号

その通りだと思います。

僕自身、2008年11月19日 「4つの階層から見る人間と科学技術」において
4つの階層
___1_国家の階層
___2_学会・大学の階層
___3_企業の階層
___4_一般の階層
のうち
___4_一般の階層は「共通の認識も持ちながらも個として拡散する部分も多い。」
と書いています。

情報通信の世界では、夢のような自己実現の多様なスタイルの可能性が登場します。
ただ、注意しなくてはならないのは情報通信の世界=すべての世界ではなく、
すべての人が自己実現の多様なスタイルの可能性を情報通信の世界の変化スピードで
求めはしないということです。
情報交換・情報共有領域においては「距離」と「時間」を光の速度で縮める
能力を持つICTですが、すべてのモノ・ヒト・コトを同様の光の速度で縮めるわけではありません。
必然的に情報通信の世界の変化速度に対して、それぞれの変化速度自体には、
リフレクション的多様性が生じます。

正直、情報量自体が飛躍的に増えている現代情報化社会においては、
限られた24時間のなかで、
各個人が自分自身の生活スタイルに役立つように、
どう情報を活用していくかは、
ますます各自の判断によります。
まわりと同じ必然性はあまりありませんし、まわりのヒトは決められないでしょう。

ポジティブに言い換えると
なんらかの「生活に役立つアウトプット」の目的意識をしっかりと持っていれば人それぞれのアプローチで良いのです。

そして一人一人が持つ「生活に役立つアウトプット」が
光の速度の情報交換・情報共有で機能的に集まって、拡がって、
「みんなに役立つアウトプット」になる。
そんな生活社会が実現しつつあります。

2011年は世界的構造変化の波を受動的に浴びた日本が、ほぼその状況を認識し、
それに対してどう具体的に反応し、積極的に対応変化していくかの分岐点となる
リフレクション的変化年になります。
そして同時に、情報交換・情報共有領域においては
「距離」と「時間」を光の速度で縮める能力を持つICTの
多様な分野への影響力を、多くの人がそれぞれの感覚で、
体感せざるおえない年でもあります。

こんな変化の節目を体感できる機会はそうは訪れないでしょう。

残念ながら僕の生活の現実は、今年もガラクタだらけの膨大な情報や多くの人々の意見の中から、
役立つものを抽出して、検証するプロセスに手間取って、今年もなんらか情報の波に溺れそうですが・・・。
具体的な「生活に役立つアウトプット」をもっと出すようにしていきたいです。